ご 神 幸
二宮赤城神社のご神幸

二宮赤城神社と三夜沢赤城神社には「ご神幸」と呼ばれる行事がある、通稱「お上り」とも言われている。
3月末午の日に神様が三夜沢赤城神社へお出かけになり、4月初辰の日にお帰りとなる。秋は、11月末午の日に三夜沢赤城神社へお出かけになり、12月初辰の日にお帰りになるのである。

この神迎えの神事を「ご神幸」と言う。「ご神幸」のために、ご神事が行われる。このご神事は、3月と11月の未午の日の午前零時から60〜70分かけて、矢を1,000本奉射する神事である。「四方固め」とも言う。矢は萱を材料に作られ、弓は桑の枝で作る。矢羽根も鏃も半紙を切って付ける。弓は30cm以内で矢は7〜8cmである。

ご神事は、射手は神官、介添えは氏子総代1人が矢持ちとしてつく。拝殿南東すみより始め本殿を回り、参道に入って鳥居下まで進みそこから、北側を向いて奉射しながら東進する。
的場(長島自動車北の東宮川の橋)まで、そこで一礼して南向きに奉射しながら西進する。鳥居下で更に西進して、馬継場(磯部家西北)で一礼して北向きに奉射しながら、東進し鳥居下で南下する。
千足入口の十字路で折り返すがこのころ1,000本の矢が終わり弓を納めて社務所に帰る。介添えは、鳥居、神門などに注連縄を張り「ご神事」が終わる。

二宮赤城神社でご神事を奉仕していると同時刻に三夜沢赤城神社でも、四方固めを奉仕しているのである。二宮は神様の出発のための清めであり、三夜沢は、神様を迎えるために清める意味で四方固めをするのである。

四方固めの開始にあたって奏上する祝詞は、神宮の口伝で秘中の秘とされている。奉射中は、音もさせず、無言の業であり、後は絶対に振り向いてはならないとされている。暗夜の中で行なうものである。ご神事に出会うと災難にあうと言われる。奉射された矢は、早朝の内に近所の人達が拾い、神棚にお供えされる。無病息災と豊作祈願のためである。

ご神幸は、霊代を奉じて、三夜沢赤城神社へ神様をお迎えに行く神事である。3月末の午の日にお上りになられた神様を4月初辰の日にお迎えに行くのである。

当日は、朝、拝殿で道中安全祈願祭を行ない出発する。途中、大胡神社(近戸神社)で休憩、次いで、宮城村拍倉で小休止、これを「お腰掛け」と言う。「お腰掛け」では、拍倉の阿久沢一族がお迎えし、接待に当る。(今は阿久沢家以外の姓の人も仲間入りしている)昔は「お腰掛け」に倒着すると伝令が飛び、三夜沢では大急ぎで小豆を煮たのである。極めて短時間であるため「三夜沢小豆」と三べん唱えて煮たと言う。これが三夜沢に伝わる小豆のはや煮の伝説である。

次に、三夜沢赤城神社に至り、三夜沢の神宮がお迎えの祝詞を奏上する。終って直会がある。この直会に小豆がふるまわれたのである。(今は省略)ご神体を担ぐ人が烏帽子直垂を着たのであるが今は社名入りの紺の伴天である。


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